ペダル・スティールギターとは、その4
このイラストは左手(右利きの場合)に持ち、弦の上に置いて使うスライドバー、あるいは単にバーというシンプルな道具です。これがある意味においてペダル・スティールギターのすべてと言っていいでしょう。むくのステンレススティールでできた、このバーを使って演奏するスタイルにこだわった結果が今日のペダル・スティールギターという楽器を作り上げてきたのです。
この演奏スタイルの独自性というのは、弦の上をスライドさせることによる音程の連続的な変化による音楽表現にあります。しかも同時に複数の音を出すことができるのです。
階段状ではなく滑らかに連続的に音程を変化させる表現をポルタメントと言います。このポルタメントという奏法が可能な楽器は例えばバイオリンなどの擦弦楽器がそうです。あるいはトロンボーンもそうですし、短い音程変化なら他の管楽器もある程度可能です。しかし、これらの楽器は大体1つの音しか出しません。バイオリンなどは同時に二つの音を出すことができますが、連続して演奏するのは特殊な場合です。また、ピアノ、オルガン、ギターなどの撥弦楽器など同時に複数の音を出せる楽器はこのポルタメントという表現はできません。この、複数の音を出すことと、ポルタメントとは相容れないというのが普通なのですが、ペダル・スティールギターはこの難題をクリアできるほとんど唯一の楽器なのです。
さらに、ペダル・スティールギターはボリュームペダル、あるいはエキスパンダーともいいますが、この道具を使うことで連続的な音量変化も可能です。
こうしてペダル・スティールギターは音楽表現にとって非常に可能性のある楽器へと進化してきたのですが、こうした特徴を活かし切る技術というのは簡単ではありません。そこで、僕が今まで積み重ねてきたささやかな技法をこのブログで書いてみようと思うのです。